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ニカラグア カップオブエクセレンス 2006 出張レポート パート2
ニカラグア・カップオブエクセレンスの表彰式の途中から抜け出して、
次の日からのファームツアーの為に移動を開始。 てっきり表彰式の次の日から移動するのかと思いきや、
朝から農園を巡る予定になっているから、今夜現地へ向かわないと朝の予定に間に合わないよ!と軽く説得され、
慌ててホテルで荷造りし、夜中ひたすら暗い道をホンジュラスの国境付近のヌエバセゴビア県まで走りました。
オコタルという町に1つしかないモーテルに深夜に到着。もうその晩は寝るだけでした。
朝は爽快な目覚めで始まり、まだ朝食まで時間があったのでバルコニーで本でも読もうと外を見ると、その光景にしばし目を奪われました。
道は舗装されていないし、向かいの家ではなぜか庭で朝食作っているし、どの家も土で作られたような造りなんです。 でも田舎育ちのせいか、
僕は妙に落ち着いたんですよねぇ。 そのまま2時間ぐらい読書をして過ごしました。
朝食も他のツアー参加者と済ませ、いざ農園へ。 四駆でないと入り込めないような場所なので、
当然道も悪路!グラングラン揺られながら、第一農園に到着。 カサブランカという農園で、僕と同じ年のセルジオさんとお父さんで
切り盛りしている農園です。
丁度、この当たりでは数週間前に雨が降ったらしく、花も咲き終わった時期だったのですが、
順調に花が咲いた様子は花の咲いた後を見ればわかりました。 枝にびっしりと茶色くなった花の後が残っていたのです。 昨年は雨に恵まれず、
花もあまり咲かなかったので、おのずとコーヒーの実も少なかったみたいですが、今年は満足の様子でした。
また、左の写真を見てもらってもお解りの通り、地面は自然のまま!
落ち葉も雑草もそのまま放置してあるのです。 皆さんも良く耳にされる有機栽培とか、無農薬というのは言うのは簡単ですが、
実践している農家を訪れることで、いかにそれが知恵の要ることか、時間のかかることか、 手間隙かかることか、
理解できます。 この周辺には、セルジオさんの農園のように有機肥料を農園内で作り、
害虫対策にも農薬を使わない環境に優しい方法で対応している農園が多く、実際にカップオブエクセレンス上位入賞や、
毎年入賞している農園が集中している地域でもあります。 自然の力で育つコーヒーは、
たくましくコーヒー本来の味を自ら引き出してくるのでし ょう ね。 コーヒーの木の上には、
右の写真のようにシェードツリーといって、コーヒーの木を直射日光から守ってくれる木が点々と植えられているのです。
ニカラグアは中米エリアの中でも最もシェードツリーを多用している国で、
この木陰のおかげでコーヒーは本来の味をより一層甘いものに仕上げてくれるのです。
どうりでニカラグアはチョコレートのような甘みを持ったコーヒーが多いわけです。 カップオブエクセレンスの審査会でも、
本当にチョコレートのような強い甘みをもったコーヒーが非常に多くありました。
カサブランカ農園を後にした僕らが次に訪れたのは、
今回のカップオブエクセレンスで2位を受賞したサンタフェ農園 と、その直ぐ目と鼻の先にある3位を受賞したエル・
サイプレス農園。 優秀な農園が密集している地域ということもあって、農園主がお互いのノウハウを話し合って、
より美味しいコーヒーを作り出す為にはどうしたらいいのか研究しているのです。 2位受賞のサンタフェ農園は、樹齢500年と予想される大木が今の農園のど真ん中に生えていて、
その木を囲うようにコーヒーが植えられているのです。
実はコンテストに入賞した豆はこの大木の周辺で取れたコーヒーを集めて出品したところ受賞したとか。
もうそこはジャングルと言っ てもいいぐらいの、自然のまま。 コーヒーにとっては最適なのでしょうけど、
摘み取り作業をする労働者は大変だろうなぁ~と歩きながら思ってしまいました。 あと、
ここの農園主は1本の木から大量の実を付ける方向で栽培するのではなく、いかに一粒一粒に栄養が行き渡り、糖度が高く、
しっかりとした風味特性が出せるか!を熱心に研究なさっているようです。 大量生産の栽培を行えばお金はドン!
と入るかもしれませんが、そこをあえて「美味いコーヒーを作る」ために栽培しているあたりに、職人魂のようなものを感じました。
素晴しい方です。(いつもベレー帽をかぶるお洒落な方でもあります。)
3位受賞のエル・サイプレス農園は昨年も3位を受賞した優秀な農園。僕の記憶が正しければ、
確かここのほとんどのコーヒーの木が若い木々だったはず。 英語での通訳をしてくださったE-COMのヘンリックさんいわく、
木そのものが若いと土壌からの養分を効率よく葉っぱや実まで吸い上げることができ、良質なコーヒーができるとのこと。
ワインなんかは古い木の方が珍重されたりしますが、ワインの場合は果肉が重要ですが、コーヒーはその更に内部の種子が重要です。
種子まで甘みが到達される為には、若い木の方が効率よく養分を送れるという説明には、納得してしまいます。
カップオブエクセレンスに出品した豆以外のこの農園のコーヒーも他の国際審査員の方々と飲みましたが、甘みも強く、
みんなからの評判も上々でした。 農園主からコンテスト以外のコーヒーを購入してくれないかとサンプルをもらいましたが、
個人的には購入して、お客様に飲んでもらいたいなぁと強く思っています。
ちょっとミルトンだけでは輸入は難しいところではあるのですが・・・
以下に掲載の写真も全て今回のニカラグア・カップオブエクセレンスに受賞した農園ばかりです。
もうどこの農園もさすが受賞するだけあって素晴しい農園管理がされています。また環境に特に配慮されて栽培されているので、
自然が豊かでたくさんの野鳥もさえずっていました。
↑コーヒーの木を覆い被さるように、木陰を作るシェードツリー。ジャングルです。
↑農園主同士はとても友好的で、常に情報交換しているようです。
↑この槽に汚物を貯めて、なんと天然メタンガスを作り、家事に使っているのです。
全てが無駄にならず、環境に優しい循環型の生活を営んでいるのですね。
↑自家製有機肥料です。相当匂いますが、これがまたいい肥料なんですねぇ。
農園主同士が農園で語り始めると、それはそれは真剣です。自分の農園にも役立てる部分はないかと考えていらっしゃるのでしょうねっ。
その真剣な取り組む姿勢が素敵でした。
↑手前が豆を植えた苗床で、奥にいくにしたがって苗も生長しています。台湾とアメリカの審査員とオコタルのモーテル前でパチリ。
同じアジア系なので、何かと気が合いました(^^)v
ファームツアー最後に、同行した審査員の方々とのワンショット。ここに写っているのは審査員の中でも一部の方々ですが、
どの方も大変視野が広く、コーヒーを愛している素晴しい方々ばかりで、僕も相当いい刺激をうけました。
やっぱりこれからは、産地やブランド名、豆の大きさで評価されてきたコーヒーではなく、
農園主が丹精込めて作り上げた純粋に味の美味しいスペシャルティコーヒーの時代ですよっ!僕も審査員という仕事と、
ミルトンのお店での仕事を両立させて、もっともっと美味しいコーヒーを皆さんにご提供できるようにがんばります。
wrote by ミルトンコーヒーロースタリー : 2006年05月28日 03:44